官 回


 いやあ、こんな所でお前に会うなんて。懐かしいなあ。今、何やってるの。え、課長。課長なの。すごいじゃないか。いやいやいや、会社の大きさなんて関係ないよ。立派だなあ。すげえなあ。変わっちまったなあ。俺はなかなか会社勤めがつづかなくてなあ。もうここ十年は自由業だよ。堅気にはなれなくてさ。おいおいおい引くなよ、引くなったら。ヤクザって意味じゃないよ。ひでえなあ、ちゃんとした商売だよ。ただ売るモンがコロコロ変わってるだけさ。今は主にケンショクやってる、そうそうそう、健康食品。浮き沈みはあるんだけど、浮いた時がでかいからやめられない。まあ博打で言うとトントンかな。食うには困らない。こういう店で時たま飲める程度には稼げてる。またあ、心配するなよ。こっちだってお前の事は気がかりだったんだよ。大丈夫かなあ。どうしてるかなあってさ。だって、若い頃はあれだけ二人して悪い事やったんだもんなあ。

 あの頃は楽しかったなあ。金はなかったけど毎晩毎晩遊んでたよなあ。金、どうしていたんだろうなあ。あはははは、確かに盗みは何度も何度もやった。ユスリもタカリもやった。わははははは。そういうやつが今じゃあ課長さんかよ。あ、いやいや、そんなつもりで言ったんじゃないよ。ごめんよ。怒るなよ。怒るなったら。でも、今の目は、昔のお前の目だったよ。震えた。酔いが醒めた。一瞬で醒めた。だから、もう一杯飲もう。わははははは。
 よく女からも金ふんだくったよなあ。お前、やっちゃえばこっちのモンって言ってたもんなあ。ほらほらほら、誤魔化すなって。あれ、お前の口癖だったぜ。強姦株式会社、恐喝課長ってなもんだよ、わははははは。でも、よくもまあ俺たち二人とも今まで捕まらなかったもんだ。

 わは、わははははは。うんうん、憶えてるよ。もちろん憶えてる。忘れないよ。ありゃあ、傑作だった。婦警を二人してやっちゃった時の話だろ。そうそうそう、俺もダメかと思ってた。あん時ばかりは捕まると思ったから徹底的にやった。今思えば、ありゃあやりすぎだ。わははは。可哀想な事したよなあ。あは、あはははは。


 駅の近くの通りだったよな、確か。駅の近くなのに人通りが少なくてなあ。そこに路駐してる車、よく拝借したよなあ。拝借。ははははは。鍵あけるのに20秒、エンジン直結に40秒。少なくとも1分かからねえ。楽しかったなあ。あの頃の俺たち最高だったよな。そう思わないか。

 そうそうそう。あん時、パクろうとした車のタイヤに駐禁のチョークの印があったのに気が付かなくてなあ。馬鹿だよなあ、俺たち。油断大敵ってヤツだな。はははは。いやいやいや、今じゃあ笑い事だけど、あん時はびびったよ。エンジン繋ごうとしてたら婦人警官がいきなり窓をトントン叩くんだもん。ありゃあねえよなあ。あれこそ想定外ってヤツだ。ははは。まだ電気系が繋がってないもんだからパワーウインドウ動かなくてさ、思わず、俺、ドアを半開きにしてな。で、お前、そん時の婦人警官の一言を憶えてるかい。婦警が最初に何て言ったか。えー何だよ、憶えてねえのかよ。俺はあの一言が忘れられねえ。何て言ったと思う。いや、違う違う違う。すぐに車を移動させてくださいじゃねえんだよ。それは後から言った。問題の一言の後だったよ。俺が忘れられない婦警の台詞ってのはな、これあなたの車ですかって。ははははは。むこうは深い意味もなくそう言ったんだろうな。うんうん。笑っちまうだろ。でもな、そう言われた俺の立場になってみろよ。いいえ違います私の車ではありません、なあんて言えるかってんだ。あははははははは。多分、俺の声、裏返ってたと思うぜ。ハ・ハ・ハイッてな具合に。おいおいおい、笑いすぎだよ、お前。そんなに笑うなよ。笑うなったら。俺に失礼だろうが。あはは。お前だって少しはビビってたろう。でも、あん時は参った。ハイって返事したら言われたんだよ。そうそうそう、さっきの台詞な。すぐ車を動かせってな。そう言われた俺は血の気が引いてた。動かせねえんだもん。あは、あはははは。婦警の前で直結やる馬鹿はいねえよな。わは、わははははは。ホントに今だからこそ笑って話せるんだけどな。

 また、あの時の婦警は嫌な感じだったよなあ。ツンとした雰囲気でさ。何が嫌かって、車から離れてくれねえんだよな。半開きのドアんトコにつっ立ってこっち見てるのな。エンジンかけて発進するまでそうしてるつもりだったのかなあ。こっちの立場にもなってくれよ、と。ははは。で、婦警が動かねえもんだから俺イライラしちまってさ。それで、やっちまったんだよな。大声で、わかったから行けよって怒鳴ってドアを内側から思い切り蹴った。それでいきなり全開になったドアがモロに婦警に命中してな。あの女、そのまま尻餅つきやがった。ざまあみろってなもんよ。うわはははは。それで俺、婦警の腹に蹴りでも一発食らわせてやろうと運転席から外に出たんだよ。そしたらなあ、尻餅ついた婦警のパンツ丸見えだったんだよな。M字開脚だよ。ぎゃはははははは。でも、あれは妙にエロかった。制服っつーか、まー、相手が婦人警官っつーのがそそったのかなあ。ザワザワって具合に音を立てて俺の血が騒いじまった。

 そん時、俺はこの女を拉致るしかねえってスイッチが入っちまって、婦警の上着の両襟を掴んで無理矢理立たせて、声あげられる前に腹に膝蹴り二発喰らわせた。おいおい、イッちゃってるとか言うなよ。悪かったと思ってるよ、今でも。一番驚いたのはお前だもんなあ。助手席のお前に向かって運転席から婦人警官が投げ込まれてきたんだからな。しかし、あん時のお前は落ち着いてたように見えたぜ。いやいや、慌てた風には全然見えなかったよ。お前は婦警の首に腕を回して締め付けながら助手席のシート倒して素早く後部座席に移った。いや見事だった。やっぱスゲエわって思ったもん。で、その間に俺はエンジンを繋いだ。車が走り出しちまえば、もうこっちのモンだ。

 車の中は突然の修羅場だったよなあ。お前が婦警に向かって、殺すぞとか埋めるぞとか低い声で言ってるのが聞こえた。うんうんうん。女を拉致った時のお前の決まり文句だったよなあ。ああはははは。あの頃のお前はいつもウォッカの小瓶を持っていたよな。そうそう。飲むためじゃなくて女をやっちゃう用にってな。赤信号で停まった時に後ろ振り向いたら、そん時はもう、スカート捲くられた婦警のケツにウォッカの小瓶が立ってた。わはははは。いつもながら鮮やかな手並みだと感心したよ。ウォッカ浣腸ってのは、お前に会うまで俺は知らなかった。そりゃあ、大腸が水分を吸収するってのは、理科の時間に習ったよ。だからって無理矢理に肛門から酒を流し込んでフラフラにするなんて発想は俺にはなかった。っていうか、普通は思いつかねーよ。わは、わははははは。

 小一時間、車を走らせてる間、後部座席のお前は婦警の頭を何度も何度もシートに叩きつけてたっけな。酔いが早く回るようにってさ。いつもの倉庫に着いて婦警を車から引きずり出すと、ぐったりしてたけど必死で立ち上がろうとしてた。そこからが楽しいゲームだったよなあ。足に来ちゃってなかなか立ち上がれない婦警の尻を靴の先で小突いて、逃げろホラ逃げろって。くひひひひ。ひでえよなあ。やりてえんならそのまま抱いてやれよってんだ。あははははははは。でも、あの婦警、アルコールが回っちまってるくせに、その場を逃れようと必死にだったよなあ。一応、自分が置かれた状況をわかっていたのかなあ。懸命に立とうとする姿が健気でさ。え、何。婦警が立ち上がる度に、俺が足払いかけて何度も何度も転ばせてたって。わははは。あったりまえじゃんか。そうすりゃあ、婦警の健気な姿を繰り返し見れる。悲壮感の中に美しさがあるって言うじゃんか。あは、あはははははは。

 何、言ってんだい。鬼畜生じゃお前には敵わねえよ。俺なんてお前に比べりゃあ可愛い可愛い。だって、俺が繰り返し婦警を転ばせて楽しんでる間に、お前は持ってた大麻に火をつけて一服大きく吸ってなあ、倒れた婦警に近付いて、口の中に溜めた煙をキスするようにして吹き込んだんだぜ。俺は驚いたよ。思わず、わ、もったいねえって言ったら、お前は答えた。婦人警官がラリったらどうなるのか見てみたいってな。わは、わはははは、はは。な、お前の方が鬼だろう。なっ。な、な。

 そうやって何度か口移しで大麻の煙を吹き込みながら、お前は婦警に向かって、大人しく言う事を聞いた方がいいだの、乱暴される前に自分から脱いだ方がいいだのと囁きはじめてなあ。時には甘い声にもなった。わははははは。でも、今考えると、あれは、お前の作戦だったのかな。まるで催眠術みたいだった。ラリっちまった婦警は自分の男がベッドで囁いてるようにでも聞こえたんだろうか。コンクリの床の上にペタンと座って上半身をフラフラ揺らしてた婦警が、諦めたように服を脱ごうとしはじめたのには驚いたよ。目を丸くして見てた俺に、お前はニッコリ笑って片目を閉じて、その上、俺に向かって右手の親指を立てた。思わず吹き出しそうになったぜ。くくくく。そうだよ、あの時の俺は笑い声を上げないように必死で堪えてたんだよ。いや実際。

 しっかしあれは面白かったなあ。見ものだった。

 意識が朦朧としてるせいか婦警は上手く制服を脱げなくてな。あの上着の大きなボタンさえ、自分でなかなか外せねえ。それを見たお前は、ゆっくり婦警の肩に手を回して彼女の唇にキスしながら、上着の襟元から胸に手を入れた。するとあの女、キスも拒まねえうえに、制服を脱ぎかけた手を下ろしてお前に身を任せやがった。それで、俺は、一発目はお前に譲る事にした。ははは。まあ確かに俺が見つけた獲物ではあったんだけどさ。そうそう。お前が先にやるっつっても、口で抜いた後はいつも俺に回してくれてたじゃん。だから俺は、お手並み拝見ってつもりで見物する事にしたんだよ。はははは。それにな、もしかするとあの婦警はフェラチオ知らねえんじゃないかと思ってたしな。あはははは。あの頃はフェラ未経験の女って今ほど珍しくなかっただろ。だから、お手並み拝見さ。あはは、はははははは。おいおい人が悪いなんて言うなよ。お互い悪党同士じゃないかよ。

 取りあえずお前は婦警を説得にかかったのな。彼女の上着のボタンを外してシャツの上から胸を揉みながら、もう一方の手で婦警の手を自分の股間に導きやがった。で、お前がゆっくり手を離しても、婦警の手はお前のズボンの上から離れなくてさ、そのまま不器用な手付きで撫でてたな。なんだか可愛らしいかったな、今思うと。わははははは。ラリっちまえば、婦警でもあれくらいはオッケーなんだろうってさ。はは、おっかしかったなあ、ははは、はは、はははは。

 でもさ、俺が不思議だったのは、今まで女を拉致った時はお前っていつも無理矢理脅してフェラさせてたじゃん。だけど、あん時だけは、お前、すっげー下手に出てたって記憶があるんだよ。いやあ、お前の台詞をここで再現するのさえ恥ずかしいんだけどさ。ああ気持ちいいとか、優しいねとか誉めちぎってた。しまいにゃあ、君が撫でてくれたおかげでホラこんなに元気になったなんて言いやがった。ははははは。相手が婦人警官だから最初は遠慮してたのかなって思ったんだけどさ。どうなのよ、そこんトコ。え、婦警だからっていうのは当たってるけど遠慮じゃないって。どういう事さ、それ。あ、なになに。は、ははは、あははははは。そうかそうか、婦警の方から咥えてくるように仕向けたくなっちゃったのか。ははは。なんか、わかる。そうかそうか、それで優しいふりしてたのか、お前。わはははは。やっぱ、鬼畜は俺じゃなくてお前だ。ひでえよ。サイテーだよ。あははは。ったくもう。

 ズボンを脱いだお前は、完全に勃起しちまったモノを婦警の口先に差し出して、勇気を出してだの、大丈夫だの、と言いはじめたよな。いつの間にか婦警の制服の前が肌蹴ててなあ。しかもブラまで捲りあげて、お前は彼女の乳首を人差し指の先で刺激しながら囁いてたよな。君を気持ちよくさせてるんだから君も僕を気持ちよくさせてくれよって。がは、がははは。でも、ラリってるとはいえ、さすがに相手は婦人警官だったよな。お前のモノを咥えるのにはかなり迷ってたみたいだった。迷ってる婦警に、男は舐めてもらえるとすごく幸せな気分になるんだよ、なんて無茶な理屈で説得しはじめた。ホラ、交渉人って言うじゃねえか、ネゴシエーターっつうの。最早その領域だったよ、あの時のお前は。わははははははは。

 でも、お前は交渉人の才能があった。なにしろ、今から10数えるから、その間に頑張って決めてくれよって条件を出した。そして、カウントダウンをはじめたんだからな。10…9…8ってさ。で、お前、2…1…0のタイミングで腰を少し前に出したろ。なっ、な。だろ、だろ。見てたよシッカリとよ。1…0のタイミングで、あの婦警もバッチリ咥えに来てくれたよなあ。あはははは。遂にお前は、あの婦警の唇の処女を犯しやがった。わはははは。まったく最低の悪党だよなあ、お前は。ぬは、ぬは、ぬわははははははは。

 で、婦警のフェラはよかったのかい。え。よかねぇけどよかったって。何だよそりゃあ。え、なになに。うん、なるほどなるほど。下手なところに却って興奮しちまったってえわけか。そうかそうか、わかるような気がする、うんうんうん。だって、お前、婦警に咥えさせたまま、いろいろと教え込んでたもんなあ。口に入れるだけじゃなくって舌で裏側の筋を舐めてとか、袋も咥えてとかな。いやいやいや、言ってたって言ってた、言ってました。ガキに教え込むように言っていましたよ。はは、あははははは。しまいにゃあ、飲めるかい出したら飲んでくれるかい、なんて訊きやがった。お前、答えを待たずして口の中に出ちまったけど、あの婦警、シッカリと飲み込みやがったなあ、全部。あれもラリってたおかげかな。でも、あの時のお前の反応を俺は忘れられないよ。全部出し終えたお前は婦警に口を開けろと言ってみたものの、ザーメンは全部、彼女の喉の奥だ。あれえ、ホントに全部飲み込んじゃったのか、無理しなくてよかったのにと、ずいぶん残念そうにお前は婦警に言ったよなあ。女の唇から白い液体がダラリとこぼれるのを見られなくて悔しがってるのが俺にもわかったよ。あはははは。

 まあ想像以上の満足と不満はあったろうが婦警の口に発射しちまったお前は俺と交代した。でもなあ、そん時の婦警の反応があからさまでなあ。まあ、仕方ないっちゃあ仕方ないんだけど、いきなりの第一声が、あなた誰、だよ。そして、彼は…ねえ彼はどこなの、だよ。俺にしてみりゃあ、ざけんな、だよなあ。

 思わずカチンと来ちまった俺は、まずスカートの中に手を突っ込んだ。これはお前のおかげと感謝すべきなのかなあ。彼女の股間は、フェラの時点ですっかり興奮しちまったのか、パンストの上からでもわかるくらいに、ほんのりと温かくなってた。今しかないと思った俺は、婦警の足首を抱えるようにして持ち上げた。お前のウォッカ浣腸でやや乱れてはいたけど、尻餅のM字開脚で俺を「その気」にさせちまった婦警の白い下着が目の前に晒された。局部がふっくらと円形に盛り上がっていてな、下着の脇から陰毛が少し顔を出してたっけ。しかも、婦警の白い下着の膨らみの中心には小さな染みまであったんだよ。むはははは。あ、もうこの婦警、受け入れ態勢は出来てると思った途端に、まず有無を言わさず一発突っ込んでやった方がいいだろうって思ったんだ。

 それで、ぎゃあぎゃあ喚きはじめた婦警のスカートの裾を両手で持って思いっきり捲り上げたら、裾がちょうど首のところまで来て彼女の上半身を上手い具合にすっぽりとくるんじまった。婦人警官のスカートってタイトっぽく見えて、裾がけっこう広がるのな。前の部分がな内側に折り込んである作りになってんだ。だから、その広がった裾を首のところでぎゅっと結んでやった。

 ははは。あれ、傑作な格好だったろう。下半身丸出しで臍まで見えてた。婦警のやつ、これから何されるかわかったのか、やだやだだのやめてやめてだの呂律の回らんねえ口調で叫びはじめたけど、もう遅いってんだよな。わは、ははは。背中側から手え突っ込んでストッキングごと下着を下ろしたら白い尻がペロンと顔を出した。もう速攻でぶち込んでやったよ。婦警のヤツ、いやああ、なあんて悲鳴を上げやがったが、こっちは何言ってんだって感じだよ。ほんのさっきまで、お前の金玉、吸い上げてたんだからな。この糞女って思いながら、取りあえずガツンガツン突き上げてやったよ。ざけんな、こら、今までしゃぶり倒してたくせにとか、散々罵倒しながらな。

 そして、いく時は顔にかけてやった。あの頃は顔射…顔面射精って流行ったじゃねえか。な、な。お前もそういう女の顔、好きだったもんな。なにしろ俺の精液まみれになった婦警の顔見たお前は性欲を回復させて、うそよこんなのうそよなんて泣き出した婦警に乗っかって犯しはじめた。いきそうになると、また口で受け止めろって、婦警の鼻をつまんで口を開かせて射精しやがった。
 お前が出した後、俺も婦警との二回戦をはじめた。二度目は、さすがにザーメンべっとりの顔は見たくなかったんで後ろから犯した。相変わらずぎゃあぎゃあ喚きつづけてる婦警の肛門が目の前に見えた。そこに指を突っ込んでやったら、婦警の悲鳴がぎゃあぎゃあからひいひいに変わりやがった。ははははは。まったくありゃあ面白かったなあ。

 婦警を嬲り疲れて一眠りした俺たちが目を覚ました頃、やっと彼女の身体からアルコールもハッパも抜けたみたいだったな。
 正気に戻った婦警は、手足を縛られたままのくせして俺たちを罵りはじめた。あなたたち何をやったかわかっているのとか、どうなるか覚えてなさいよとか、もう、うるせえのなんの。でも、固まった精液でパリパリでカピカピの顔で言われても説得力ねえってんだよな。馬鹿かあの女は。わははは。

 こういう女にはもう少し痛い目見せてやんねえとって事になって、床に倒れた婦警の上で、お前のタップダンスがはじまった。16ビートのタップダンスって皆に言われてたやつだ。お前はタップ踏みながら、自分が何やったか手前えに言われなくてもわかってるとか、お前こそ自分の立場忘れるなとか、婦警に向かって怒鳴ってたっけなあ。
 ああなるとお前は「紙一重」になっちまって誰も手をつけられなくなっちまうから、俺はその間にコンビニに行って使い捨てのカメラを買ってきた。帰ってきてもお前のダンスはつづいていたよな。まったく飽きねえヤツだよ。

 あのカメラどこにいったかなあ。探せば見つかると思うんだけどな。うん、現像はしてねえ。そこから足が付きそうでさ。だって警察手帳の顔写真貼ったページまで写してんだぜ。裸に引ん剥いた写真や制服着せた写真と一緒にさ。さすがに現像は怖くってさあ。今は、デジカメってあるからいいけどさ、あの頃は、そういう便利なモン無かったからなあ。

 しかし、最後まで酷い事したと思うよ。散々楽しんだらすっかり深夜になっちまってて、もう用無しになった婦警の手足を縛って猿轡かませたまま盗んだ車に乗せて、警察署のパトカーが停めてある玄関横の駐車場に放置しちまったんだからなあ。

 あの後一体どうなったんだろうなあ。新聞やテレビのニュースにもならなかったよなあ。不思議だなあ。

 でも本当にあの頃は面白かったなあ。最高だったよ。今じゃあ出来そうにない事が色々と出来た。
 何だったんだろうなあ。何でも出来るって感じていたあの頃の俺たちのあの勢いは。
 あの頃が、今に比べて幸福な世の中だったのかなあ。それとも、ただ単に、あの頃の俺たちが若かっただけなのかなあ。

 あ、そうそう。この間、駅前で若い婦人警官を見たんだよ。だけどさあ、昔と違って、ズボン履いてるんだぜ。スカートじゃなくてさ。つまんねえよなあ。やっぱ時代が面白くなくなってるんだろうなあ。参ったなあ、勘弁してほしいよなあ。

 ああ、またあの頃みたいな夢のような時代が、もう一度やって来ないかなあ。


  〜おわり〜




2007/07/28

TOP     story     index page