婦人警官 屈辱 |
part 05 |
今の岬には、自分の胸に触れられる事に対し、それが性行為を連想させた事以外にも、別の抵抗感があった。その理由は鮫島の台詞によって明らかになる。 「岬、二人目だったかな…子供。―すまんなぁ。タイミングを逃して、まだ出産祝いを贈っていなかったよなぁ。」 岬は半年ほど前に第二子を出産していた。 「元の上司として失格だな、俺は…。育児休暇も全て消化せずに現場復帰している婦警の鑑に対して、失礼だよなぁ…ふふふ。」 胸元の素肌に冷たい感触があった。 シャツの合わせ目から三番アイアンが入ってきていた。その先端部分はシャツの内側から第三ボタンを引っ掛けるようにして再び衣服の外へ顔を出す。鮫島はそれを確認すると、握ったシャフト部分にゆっくりと回転を加えながら、岬に話しかけた。 「子供…」第三ボタンを引っ掛けてクラブのヘッドも回転をはじめる。 「―息子さんだったか?」シャツのボタン部分がアイアンによって徐々に捩られていく。 「―それとも、娘さんだったか?」ボタンを縫い付けた糸に負荷がかかる。 「どちらにしろ…最初の子と同じで…」プツリ、と細い糸が切れる小さな音がした。 「―母乳で育ててんだろぅ。ふふふ。」 プツッ! ヘッドが一回転と少しまわったところで第三ボタンが弾けるようにはずれた。身体を反らした体勢のため、ボタンがはずれた箇所が大きく開いた。白い肌とそれを覆うスリップの胸元のレース部分が顔を出す。 クラブヘッドは同様の動きを第二ボタンに対しても試みはじめた。 岬の頬が紅潮する。 胸は…岬の胸は、昼間は子供に授乳できないために、一日の仕事が終わるこの日没後の時間には、軽い痛みを感じるほどに張っていた。 「や、やめなさい!」 その言葉を発するのには一抹の躊躇があった。 その躊躇は、警察官を長く務めているせいであろうか、署長や鮫島をはじめとする上司たちに対して「命令形」の言葉を向けることへのためらいだ。 だが、今、岬にはそのためらいを馬鹿馬鹿しいと思うほどのゆとりはなかった。 「必死な顔になっているぞ、岬。俺はいままで、君のそういう顔を拝んだ事はなかったなぁ…」 余裕のある口振りで鮫島は言葉をつづける。 「岬のそういう顔が見たかったよ…。ずっと、そう思っていた。ふふふふ。」 鮫島のその言葉に岬はどのような表情を向ければいいのか困惑する。怖れも焦燥も、そして怒りの表情さえもが鮫島を喜ばせている。―だが、その困惑の表情すら浮かばないまま、彼女の顔には鮫島の言う「必死」の形相が貼り付いていた。 「ふふふふ、胸を押せば母乳が出てくるんじゃぁないのかぁ?え、岬よ。」 鮫島の声に続いて、プツッと軽い音がして、第二ボタンが弾かれるようにはずれた。シャツの胸元がさらに大きく開く。 そして、クラブヘッドは、喉元の第一ボタンを下から引っ掛けるように、絡んできた。 「気の強いお前の事だから、下着を見られようが、裸を見られようが、多分、いつもの表情が崩れる事はないと思っていたが…」 鮫島は、岬のシャツの喉元に引っ掛けたクラブをゆっくりと引っ張りはじめた。そのせいで、ボタンがはずれ大きく開かれたシャツの胸元は閉じたものの、岬の頚椎後部にシャツの襟が食い込んできた。 「…さすがに乳首から母乳を吐き出すさまは見られたくないようだなぁ。」 鮫島はそう言いながら、さらにクラブを持ちあげる腕に力を加えた。岬の後頭部がわずかに床から離れそうになる。 「ぐ、ぅぅ。」 頭部を仰け反らせた岬の口元から苦悶の呻きが漏れる。その苦悶はクラブヘッドが回転をしはじめた事でさらに加速した。胸のふたつのボタンをはずされた時と異なり、今度は首が締められていく。呻き声が次第に小さくなる事が、岬の苦しみの増加を物語っていた。 声すら出せなくなった岬に鮫島が話しかける。 「死ぬなよ、岬。まだ死ぬには早い。お前が冷たくなる前に、たっぷりと楽しませてもらわなくてはいかんからなぁ。」 -つづく- |
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