婦人官 汚 01   02   03   04   05   06   07   08   09   10   11   12   13   14   15 



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17.

葉子の胃の中へと流れ込んでくる水は生ぬるく、飲み込むごとに彼女を不快にさせる。
体内に溜まっていく生水のせいで、葉子は自分の胃袋の輪郭を把握できるような気がしてきた。

「ふふふ。その切ない顔がいいね。」

メガネの少年が葉子を見て言う。
葉子は少年の眼に訴えかけるような表情で、涙が溜まった瞳で彼の顔を見上げていた。
ぬるく臭い水が喉を通り過ぎ、葉子の胃が次第に重くなっていく。

胃の重さが鈍い痛みへと変化してきた。
葉子はメガネの少年の顔を見ながら、限界を示すように首を小さく左右に振った。

「もうお腹いっぱいなの?もう飲めないわけ?」

葉子は少年の問いに首を小さく縦に振る。

「じゃ、鼻、切っちゃってもいいわけ?」

少年は葉子の鼻に入れたナイフを持った手に軽く力を入れた。

「グゥ…ンーング、ンンー!」

葉子は必死で小さく、そして細かくかぶりを振った。

「―飲めるんだ。まだ、飲めるんだ。」

今度は首を縦に振る。

「ふぅーん。」

メガネの少年が唇の端で笑った。

「じゃぁ、嘘をついたんだ…もう飲めないって。」

少年の問いかけの間にもホースからの水は、葉子の口の中に流れ込んでくる。
葉子は、汗がべったりと付着した顔で少年の瞳を見ていた。
彼の妙に余裕を持った話し方が葉子の中の焦りを倍化させていた。


18.

葉子の鼻の穴からナイフがゆっくりと抜かれた。
そして、少年はそのナイフで葉子の頬をピタピタと叩きながら言った。

「嘘をついたねって、訊いているんだよ。」
「答えろ、コラ!」

金髪の靴が汗が滲んだ葉子の制服の背中に乗せられた。

「!ゥング」

金髪の少年の突然の行動に、葉子は、体内に溜まった水を口から吐き出しそうになるのを
必死で堪えながら、小さく一度だけ頷いた。
その様子を見て、メガネの少年が満足そうにニッコリと笑った。

「嘘、ついたんだ。ふぅーん。」

そう言って、少年はホースをゆっくりと葉子の口元から抜いた。

「嘘つきには、もっと辛いおしおきをしなきゃいけないけれど…」

そして、ホースの先端から流れ出す水をじっと見ながらポツリと呟いた。

「蛙の…」

―その呟きの意味は葉子にはもちろん、金髪の少年にも、すぐには通じなかった。

「え?何、リュウちゃん?…カエル?」

金髪の少年の問いかけにメガネの少年は静かに答える。

「あ、いや。昔、ツヨシ君とさ、蛙の肛門にストロー突っ込んで遊んだじゃない。」
「―ん?…あ、あぁ、ガキの頃な。それがどうしたんだい?」
「あのね、ああいう遊びをね、人間で試したら面白いだろうなぁって…思ってさ。」

そう言って、メガネの少年はその視線を、再びホースの先端に移した。


19.

メガネの少年が言った意味を、金髪の少年よりも早く葉子が理解した。
自分が、これから何をされるかを想像した葉子は手錠をされたままの不自然な体勢のまま、
この場から逃れようと、個室の入口を塞ぐように立っているメガネの少年の方向に、
這いながら向かっていった。

「逃げんな!コラ!」

背中に乗せられていた金髪の少年の足に力が加わり、葉子は便所の床に腹這いになった。
左の膝頭が大便器の中に落ち、ピチャリと音を立てた。

金髪の足の裏が、ゆっくりと背中から臀部に向かって移動していく。

「そうかぁ、リュウちゃん。ここかぁ…ここで遊んでやるのか。」

そう言いながら、金髪の少年は葉子の尻に乗せた足に力を入れた。

「ぃ・い・いや!だめ……いやっ!そんな事…いやぁ。」
「ふぅん。何されるか解ったみたいだねぇ。ふふふ。」

メガネの少年は笑いながら、拳銃を葉子の額に当てた。

「ストローだけじゃなくって、爆竹入れて遊んだ事もあるんだよ、僕ら。」

カチリ。
撃鉄が起こされた。

「蛙は肉片になったけれど、婦警さんはどうなるかな?」
「や、や、や…」

葉子は言葉を失っていた。
パクパクと口を開くが、声は出ず、そこからは、ただただ空気が漏れていくばかりだった。


20.

金髪の手が葉子のベルトにかかった。
その手に力が加わって葉子の腰は高く持ち上げられた。

「ホラ!ケツ上げろよ!」

そして、爪先で葉子の両方の膝頭を突付く。

「ちゃんと四つん這いになるんだよ!左手、邪魔だろ!下に持って来いよ!」

葉子の背中を回り込むようにして、右足首に手錠で繋がれていた左手が腰から下におろされた。
金髪は四つん這いになった葉子の制服のスカートの裾に手をかけ一気に捲り上げた。

「―!、あ!ダメッ!」
「いちいち、ぅるせぇ!少し黙れ!」

金髪は声をあげた葉子の髪を引っ張り、葉子の顔を持ち上げた。
彼女の眼前に銃口が見えた。
メガネの少年は、その銃口を半開きになった葉子の口の中へと押し込んだ。
鋼鉄の冷たい感触があった。

「婦警さんが選びなよ。」

―そう言ってメガネの少年はホースを見た。
「ストローにする?それとも…」

―そして、銃をさらに軽く葉子の口に押し込んだ。
「…爆竹?」

「ぁぁあ…。あぁう…。」

葉子は必死にかぶりを振った。

腰まで捲られたスカート。
高く突き上げられた、ストッキングと淡いブルーの下着に包まれた臀部。

金髪の掌が、その葉子の尻を叩き始めた。
色白の程よい肉付きの葉子の臀部がパシパシと音を立てる。

「―どっちがいいかって訊いてんじゃねぇかよ!」

金髪の中指が下着越しに葉子の肛門に触れた。
彼はその中指を荒々しくストッキングの上から押し付けるように力を加えながら、
さらに、葉子を嬲るように言葉を続ける。

「ここにホースかピストルのどっちかを入れられるんだよ、テメェはよ!
 そういう運命なんだよ!
 こっちが、ありがたく選べって言ってんだから、何とか答えてみろっつーんだよ!
 答えなかったら、マジでピストル突っ込まれるぞ!このバカ!それでも、いいのかよ!」

金髪の台詞をメガネの少年が穏やかな笑顔で聞いている。
その笑顔の瞳の奥にある冷淡さを感じ取った葉子の体に悪寒が走った。

口の中に入れられた銃身に、震える歯が触れてカチカチカチと音を立てはじめた。

「ホ・ホォフ!―ホォフ。」

ピストルのせいで喋る事さえ不自由になった葉子は、必死の思いでその言葉を口にした。


  -つづく-

 

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